ある企業の現時点での生産力が低くても、将来伸びると予想されていれば、現時点でその分だけ株価は高く決められる。
逆に現在の収益が大きくても、明日から収益が激減すると予想されていれば、株価も低く設定されるのである。
アメリカでは株価が高騰を続けており、これに対して実体経済がいいから、株価はこのまま伸びていくという。
それでは、今後ともいまのようなハイペースで技術革新が継続していくから、資産価格の上昇が続いているのだろうか。
もしそうなら、まさにこれまでにないニューエコノミーである。
このような考え方はバブル期の日本と酷似している。
当時日本は実体経済がよく、日本的経営も官僚もメインバンク制度も労働者の教育程度や質も皆よいから、不況知らずの新しい時代に入ったといっていたのである。
何も日本人自身だけが思っていたわけではない。
海外でも、日本の効率性、優秀性を、それに脅威を感じるという著作がたくさん出版されたのである。
このように、〈供給側〉から見れば、株価や地価は実体経済を反映する鏡であるため、実体を反映しないバブルが発生するとすれば、将来の収益を誤って予想したために発生するものと考えている。
このとき、バブルの崩壊は基本的に望ましいこととなる。
将来の誤った実体経済の見通しが修正され、株価や地価が本来の正しい水準にもどることだからである。
この考え方では、日本のバブルは企業や金融機関、不動産業者が、各事業や土地から生み出される収益を誤って予想し、日本経済の「実力」を見誤ったために、資産価格が誤って付けられ、異常な資産投資に向けられたということになる。
また、60年代から70年代にかけて行われた「全国総合開発計画」や、田中政権の「列島改造論」などの政策も、株式や土地の将来収益予想を過剰に楽観的にさせて、投資を誤った方向に導くために危険である。
さらに、人が景気回復のために資産価格膨張を願うようでは、「バブルの教訓」がまったく生かされていないとなる。
バブルは潰すべきものであり、それによって実体経済が本来の正しい姿にもどるからである。
このような主張をする人の多くは、これと同時に現在のアメリカの好景気は、アメリカが構造改革に成功したからだという。
何を根拠に、日本のバブル期には将来を見誤ったが、現在のアメリカでは、人が将来を正確に見据えた上で資産価格が上昇しており、企業の業績や実体経済の基調もいいから、ニューエコノミーだとして、区別できるのであろうか。
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